2025.02.14
「今年は開催できるのか?」
会場入りした時に、思わずそう呟いてしまった。
事前情報を随時聞いていたものの、ここまで氷が緩んでいるとは...。
例年は、日中が-5~10℃、夜は-20℃まで下がるような別海なのに、この日も昼間は-2℃、夜にも-5℃にしか下がらない。
日本で唯一、海が凍るという野付湾。
だからこそ、ここで海の上のマラソン大会をやろうと思ったわけだが、凍らなければこの大会など出来るはずがない。
地元の漁師の方も経験したことのない状況。気候変動はこんなところでも影響しているのか...。
ただ、こればかりは人間の努力で変わるものではない。
いや、長い目、大きな目で見れば人間が努力しなければ変わるはずもないのか!?
氷の薄い部分を避けながら、新たにコースレイアウトを検討し、前日を迎える。今度は風が強くテントが立てられないという状況。
泣きっ面に蜂とはまさにこのことか!? 急遽テントを設営しないでレイアウトをスタッフで検討。
さらに試走をしながらコース状況の最終チェック。これは過去最悪のコンディション。急遽、スタート時間や競技距離の再検討。
競技説明会ぎりぎりまで、様々な調整が続いた。
アウトドアは変化がつきもの。さらに予想外、想定外のことが多々起こる。
そんな時にどのように考え、どう判断し、進んで行くのか。
北極冒険家の荻田氏の前夜の講演でまさにそんな話があったが、経験を重ねて、よく考え、変化、変更を恐れず、振り返ってその判断や行動をレビューする。
まさにそんな大会となった。
42㎞のIceSeaManを32㎞に変更など、直前の様々変更があったにもかかわらず、それでも選手の皆さんは一切の不平不満言うことなく、受け入れてもらったのには正直ほっとした。
やはりこうした自然相手のスポーツを理解している方が多かったのだろう。ご理解頂き感謝です。
レースは予想通り厳しいコンディションになり、選手の皆さんはかなり苦戦されていた。スタッフも途中でコースラインを変更させたり、雪を入れたりと様々工夫をしてくれたが、根本的な対応には程遠い。
ただ救いは、景色が良かったこと。
前日の雪が止み、抜け渡る素晴らしい景色が広がったのは、多少なりとも大会の魅力を伝える一役を担ってもらったのではないだろうか。
最悪のコースコンディションだけど、素晴らしい景色の中で行った第3回大会は、4.2㎞の部は完走率100%、16㎞や32㎞でも75%程度と予想以上に高いものになった。
これは、コース脇で一生懸命エイドをしながら応援頂いたボランティアの皆さんや、地元漁師集団RINKさんの豪華なエイドが大きな力になったことは言うまでもない。
その後の、アワードPartyもRINKさんの素晴らしい料理に、先ほどまで疲れ切っていた選手たちは笑顔に。
やはり美味しいものは人間を幸せにしますね。
3回目の開催にして180名という選手の皆さんに来て頂き、開催が危ぶまれる難しいコンディションでもなんとか開催出来たのは、地元関係者の力強い協力と、RINKの皆さん、ボランティアの皆さん、臨機応変に仕事をこなすタフなスタッフのお陰です。有難うございました。
そして、こんなコンディションにもかかわらず、アイスマラソンで遊んで頂いた参加者の皆様に心から感謝します。
来年こそ、しっかり凍らせて、楽しいアイスマラソンを開催しますので、ぜひお待ちしています!
有難うございました。
大会の言い出しっぺ
白戸太朗